ホテル客室清掃員サブリーダーのブログ

ホテルや旅館の客室清掃が心底好き。掃除が好き。キレイが好き。客室清掃に役立つ豆知識とか、たまには毒を吐いたり。

お茶を飲む日本人の方が多いわけ、常識だろ?そんなことも分からないのか?の件

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その昔、私が転職活動をしていたとき。そうあれは20代半ばのときです。

 

ただ転職活動をしているだけでは貯金が減っていく一方なので、その間は週に何日かアルバイトをしようと考えホテルの客室清掃員に応募しました。当時の私は今のように客室清掃の業界の内部事情などもよく知らず、今考えれば安易な考えだったなぁ〜なんて思います。

 

「清掃業界なんて慢性的に人手不足でまず落とされることはないだろう」
「清掃なんて誰でもできそうな仕事だし、ラクそう」
「主婦の方でもやっているわけだから私でも務まるだろう」

 

当時の私は、心の何処かでそんなふうに思っていたんだと思います。(今思うとこの考えは大きく間違っていたわけですが)


基本的に4.5時間の労働時間になります。ベテランの方になると10部屋以上、新人は最初は3部屋、これぐらいから任されます。ホテルの客室清掃員、ベテランの方に共通していることですが、異常なまでに清掃員という事にプライドを持っています。(今の私も自分の仕事にプライドをもってやっています)

 

自分の仕事にプライドを持つのは素敵な事であり、誇りとしていい事だと確かに思います。むしろそうしなくてはいけないとも思います。しかし、そのプライドは当時のあまい考えの私には異常にも感じました。

 

一般の方からすると、「清掃員」は定年を迎えお小遣い稼ぎの為に、そうしたイメージを抱く人も少なくないでしょう。当時の無知な私もそう考えていました。だから年配の方が多いのだろうとも感じていました。内情はとにかく人の出入りが激しいですし、当時の私のようにアルバイトでという方がほとんどなのでどうしてもそうなってしまいます。しかし、それが清掃員を本業としている方々には気にくわない、これが露骨に仕事中に出ます。

 

当時私の働いていたホテルの清掃員はもう軍隊のようでした。今こうしてブログを書いている途中で再度当時の情景を頭に思い出してみますが、やはりそれはもはや軍隊です。

 

それ故にほとんどの人が口を利きません。朝の集合時からベテランのおばさん以外はほとんど委縮していました。一言でいうならば「絶対服従」に尽きると思います。長く続けている方は自然と指示をするような立場になり、その立場が快適なのでしょう。今まで自分がされてきたことをこれでもかと言わんばかりに新人をいびりまくります。

 

当時の私も見事なまでにその洗礼を受けました。ベッドメイキング一つにしてもシーツが曲がっている、浴室清掃にしても汚れが落ちていない、そうでなくてもそう言ってきます。これはもう尋常ではないケチのつけようで、嫌には全くならないのですが「この人大丈夫かな?」と心配してしまうほどです。

 

私が部屋を任されて一部屋終えるとベテランおばさんは隅々までチェックしに来ます。「全くできていない」ヒステリー状態の声が毎回毎部屋で起きます。どんなに綺麗にしても確実に何かを探していびられます。

 

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画像:芝パークホテル

私が言われていたのは例えば、ホテルにはコーヒーセットなどが置いてありますよね?ティーバッグなどがあります。どこにも文句がつけようがないのでしょう。「これさ、コーヒーの下にお茶が置いてあるよね、お茶を飲む日本人の方が多いわけ、常識じゃない?逆にするでしょ?そんなのもわからないの?」一事が万事こんな調子でした。

 

なんでそんな発想になるのか私自身は言われるたびに腹の中で笑っていました。やはり清掃員という響きが自分自身どこかしら嫌なんでしょう。見下されていると感じているのでしょう。誰もそんなことは思っていませんし、私も職業として必要不可欠な仕事だと思っていますし、実際私はその後も清掃員人生を歩んでいます。

 

アルバイト、やはりそういう人には「そんな甘くはないんだよこの仕事は」という何でもいいからせめてもの自己誇示をしたい人も中にはいるんですよね。(今思うとその気持は分からないでもありませんが)当時の私は転職先が決まり清掃のアルバイトは辞めました。その後、オフィスビルに通勤し、営業職に就いたりしましたが、その数年後から清掃員人生を歩むことになろうとは当時の私は0.1%も思っていなかったでしょう(苦笑)

 

今では清掃のことをよく知る「ベテラン」になりましたが、今当時を思い返しても、「これさ、コーヒーの下にお茶が置いてあるよね、お茶を飲む日本人の方が多いわけ、常識じゃない?逆にするでしょ?そんなのもわからないの?」にはクスッと笑ってしまいます。

 

いや、そういうこともあるかもしれない。なるほどね。けど、そんな言い方しなくてもいいでしょ、みたいなw