ホテル客室清掃員サブリーダーのブログ

ホテルや旅館の客室清掃が心底好き。掃除が好き。キレイが好き。客室清掃に役立つ豆知識とか、たまには毒を吐いたり。

レベルの高いホテルの清掃

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旅行や出張でホテルを使用する時に部屋がキレイだと気持ちがいいですよね。ですがキレイな客室を維持するには毎日の清掃員さんの働きが必要不可欠です。ところで、部屋の清掃というと、「ただお掃除をすればいいのかな」と思う人も多いと思いますが、実はそんなに単純なものではありません。

 

ホテルの清掃では全ての部屋を毎日同じレベルのキレイさに揃えることが求められます。泊まる部屋や泊まる日によって部屋の美しさが変わってはクレームになってしまうからです。その為には清掃員さんの掃除の仕方、掃除のレベルを全員同基準まで引き上げることが求められらます。

 

誰でも理解できるマニュアルや、効果の高い集合研修といったような教育プログラムを揃えることが必要です。ですが、それは簡単に準備できるものではなく、積み上げてきたノウハウのアウトプットを行ったり、実習のための設備(疑似客室など)を揃えたりといったことが求められます。当たり前に利用しているホテルですが、清掃側の努力があって初めて美しさが保たれているのです。

 

また、ホテルの清掃にはそれ以外にも難易度が高まるポイントがあります。それは時間的な制約です。ホテルを利用する際に、チェックイン時間とチェックアウト時間を案内されることがあると思いますが、基本的に客室の清掃はその時間内に全ての部屋を終わらせる必要があります。

 

例えば一番早いチェックインが15:00、一番遅いチェックアウト時間が12:00となっているホテルがあるとします。そのホテルでは12:00から15:00の間の3時間しか清掃の時間が取れないことになります。

 

1フロア30部屋のホテルで考えてみると、3時間で30部屋なので1部屋あたり6分で清掃を終える必要が出てきます。

 

部屋の清掃というと、ベッドメイクはもちろん掃除機をかけたり、アメニティの補充、バスルーム・トイレなどを行う必要があります。ましてや、香害(こうがい)とも呼べるレベルの客室に残った香水臭やキムチなどの食べ物、いえ、それだけではなく、禁煙ルームでタバコを吸う人もいます(禁煙ルームで喫煙するのはマジでやめてほしいです)...orz

 

そうなれば、オゾンクラスターのようなオゾン脱臭機が必要になり、さらに清掃時間を必要とします。

 

脱臭作業がなくても、一般の人では6分ではとても終えることはできないでしょう。限られた時間で多くの作業をする為に反復トレーニングを行うことが重要です。

 

しかしそれだけではホテル清掃は万全であるとは言えません。部屋を使用したお客さんによっては飲み物をこぼしたり、部屋中を濡らしてしまったりと汚し方もバラバラであり、反復トレーニングで身につけたスキルだけでは個々の事象に素早く対応することが難しい為です。限られた時間での清掃を成功させる為にはイレギュラーな状況(汚れよりニオイがやっかい)にも臨機応変に対応できる能力を身に付けることも求められます。

 

清掃というといわゆる「パートのおばさん」が行っているようなイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、このようなレベルの高い作業を求められ、なおかつそれを毎日当たり前に行っていると考えるとすごいと思いませんか?

 

私はこのホテルの裏側を知ってから、お客として利用する際も感謝の気持ちが出てきて清掃員さんへの挨拶も自然とするようになりました。これは自分自身も気持ちが良いですし、清掃員さんも気持ちが良いことだと思います。皆さんも少しで結構ですので、この内情を知っていただき、清掃員さんへの感謝の気持ちを持っていただけたら幸いです。